私は、幼い頃から中国料理が好きで、中国料理の道に進みましたが、その中で自分自身のルーツ、日本というものに非常に興味が出てきました。そこに流れている歴史、日本料理の世界などを深く学び、勉強していくと、日本料理だけではなく日本文化を巻き戻して考えるようになりました。古代日本では遣唐使や遣隋使などが持ち込んだ中国のさまざまな文化をそのままなぞっているだけだったのですが、平安時代の末期ぐらいになると、中国から学んだものからエッセンスを抽出して、日本ならではのものを、日本の自然、気候風土、精神と調和させて作っていくという発想が生まれました。すなわち、「和魂漢才」、和の魂と中国の才を調和させるというその考え方が、私にはとてもしっくりきたのです。そういう意味で、ハナマルキの「液体塩こうじ」と「熟成こうじパウダー」という日本の調味料は、私の中国料理に料理の幅と奥行きを与える魔法の調味料です。「液体塩こうじ」は、口先だけにとどまらず、中国茶のようにグッと伸びて余韻が長く、広がりを作ります。また「熟成こうじパウダー」は、料理に濃厚さを加え、味わいを持続させます。皆さんもぜひさまざまなものに使って、料理の世界の幅をさらに彩り豊かなものにしていただければと思います。
川田 智也(かわだ ともや)
茶禅華 オーナーシェフ
1982年栃木県生まれ。「麻布長江」で10年、「日本料理龍吟」で5年の修業を経て、2017年「茶禅華」をオープン。「和魂漢才」日本の中華料理を標榜し、出汁や麹などの和の要素を積極的に取り入れるなど、和と漢の文化を見事に調和させた独特の料理世界が高く評価されている。2019年よりアジアベストレストラン50、また2021年には日本の中国料理として初のミシュラン三つ星を獲得し、以降毎年それを更新している。
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塩こうじ青トマトのビーフン
動物性の素材を用いず、中国の精進料理のように仕上げた。トマトと塩こうじとの相性を追求した一品。赤トマト、青トマト、液体塩こうじで出汁をつくり、その出汁、青トマトをあえたシーズニングソース、ビーフンを合わせている。「動物性を使わない中で、液体塩こうじが圧倒的な旨みやコクをプラスしてくれた」(川田シェフ)
◉ 使用商品:液体塩こうじ
① | 赤、青トマトを皮付きのまま16等分に切り、液体塩こうじ、塩と共にミキサーにかける。 |
② | 一度容器に移し、30分ほど置く。ペーパーを引いたザルに移し、5時間ほどかけトマトウォーターを抽出する。 |
③ | 皮を剥いた青トマトを6mm角に切り揃え、1%の塩を混ぜ合わせたらザルに移し、水分を出しておく。 |
④ | 種を取り、薄くスライスした青唐辛子、微塵切りにしたエシャロット、ほか材料を合わせ、味を整える。 |
⑤ | 冷やした器に、ビーフン20g、塩こうじトマトウォーター40g、青トマトの薬味15gを乗せたら完成。 |
牡丹海老の塩こうじ紹興酒漬け
中国料理には醤油を多用するが、醤油を使わずに、減塩液体塩こうじの力で醤油のコクや深みを作り上げた。牡丹海老の頭の奥には、青柚子の皮を削ったものを入れている。「液体塩こうじと紹興酒との相性や、液体塩こうじの持つ保湿性、なめらかさも感じて欲しい」(川田シェフ)
◉使用商品:液体塩こうじ、減塩液体塩こうじ
① | 袋の中に牡丹海老と漬けダレを入れて牡丹海老が新鮮なうちに冷凍する。 |
② | 冷蔵庫の中で自然解凍して完全に解凍されたら液体と本体に分ける。 |
③ | 牡丹海老の頭の奥に青柚子の皮削ったものを適量入れる。 |
④ | お皿に牡丹海老を盛り付け、牡丹海老を漬けていた漬けダレをかけて完成。 |
塩こうじ上湯
香港の料理で、琥珀色に輝くスープ「上湯(ショントン)」。基本的に鶏肉、豚肉に加え、金華ハムをしっかり入れて煮詰めていくが、液体塩こうじで鶏肉と豚肉をマリネしてオーブンで焼き上げ、金華ハムのような状態を作って煮出していった。「もしかしたら、金華ハムを用いるよりも、おいしいスープができあがったかもしれない」(川田シェフ)
◉使用商品:液体塩こうじ
① | Aを全て真空袋に入れ真空し、冷蔵庫で12時間寝かす。 |
② | 網の上に並べ150℃のオーブンで30分焼き、肉をひっくり返して様子を見ながら再度15分〜焼く。 |
③ | Bを1分ボイルする。 |
④ | AとB、白粒胡椒、浄水を寸胴に入れ、火にかける。 |
⑤ | 沸いてから3時間炊き、味を見て濾す。器に盛る。 |
⑥ | 残ったガラに浸るくらいの浄水を入れ1時間くらい炊き二番出汁をとり、3%の塩を入れる。 |
蕪の温冷 〜精進塩こうじソース〜
青森県・野辺地(のへじ)産の蕪の美味しさを引き立てるような、動物性を使わない塩こうじソース。液体塩こうじ、熟成こうじパウダーをベースに、中国の豆腐の発酵食品「腐乳(フーニュウ)」と豆乳、米酢、ごま油、オリーブオイルを合わせて、なめらかなマヨネーズのような状態を作り出している。液体とパウダーとのコンビネーションを、温冷の蕪で味わう。
◉使用商品:液体塩こうじ、熟成こうじパウダー
① | 蕪は、葉の部分を1cm程残し、20gサイズに切り分ける。葉の部分の砂を洗い落とし、生食の蕪は30分ほど氷水に漬けておく。 |
② | 太白ごま油、オリーブオイル以外の材料を深さのある容器に入れ、ハンドブレンダーで均一になるまで撹拌する。(ハンドブレンダーがない場合は、腐乳を裏漉してから同じように材料を全てボウルに入れて均一になるまで混ぜておく) |
③ | 太白ごま油とオリーブオイルを合わせ、ハンドブレンダーで少しずつ上から垂らし、混ぜ合わせる。(ハンドブレンダーがない場合は、泡立て器で混ぜながら、少しずつ油を加え、混ぜ合わせる) |
④ | 塩こうじ精進マヨネーズを20g器に準備する。 |
⑤ | セイロに蕪をセットして、100℃スチームで2分10秒蒸す。生食用の蕪は水気を切り、器に盛り付けたら完成。 |
脆皮手羽先 〜塩水と塩こうじの食べ比べ〜
中国料理の「脆皮(ツイピー)」という、皮をパリパリに仕上げる技法を使っている。右側の色が薄い手羽先は、塩水に漬け込んだもの。左側は、同じパーセンテージの液体塩こうじに漬け込んだもの。「液体塩こうじに漬け込んだ方は、皮が弾けるような食感に。肉には熟成感を付与することができた。骨の周りの旨みもさらに促進されている」(川田シェフ)
◉使用商品:液体塩こうじ、熟成こうじパウダー
① | Cを作る。麦芽糖を蒸して柔らかくし、穀物酢を加えて混ぜる → 冷却。 |
② | 手羽先をA、Bそれぞれの液体に8時間漬ける。 |
③ | ②の手羽先を液体から取り出し、熱湯で15秒ボイル。水気をとってCのアメに潜らせ、串を打って、扇風機で風を当てながら冷蔵庫で約18時間干す。 |
④ | 手羽の先をカットし、切り口にコーンスターチを付けて、170℃の油で3分揚げる。 |
⑤ | 油を拭き、皿に滑り止めこうじ玉(0.2g)を置き、その上に盛り付ける。 |
青柚子塩こうじクラゲ
高温のごま油にネギとショウガを入れて作る「姜葱醤(ジャンツォンジャン)」。この調味料に液体塩こうじと熟成こうじパウダーを加えて新たなジャンを作り、クラゲの傘部分を細切りにして和えている。その下には、中国では「クラゲの頭」と言われる触手部分にさらに熟成こうじパウダーをしっかり振って入れるという2重構造に。
◉使用商品:液体塩こうじ、熟成こうじパウダー
① | クラゲを各々90℃のお湯にサッと潜らせて半日流水して戻しておく。 |
② | 青柚子を上をカットし、くり抜き柚子釜を作っておく。くり抜いた果汁を取っておく。 |
③ | 大白胡麻油を鍋に入れて火にかける。 |
④ | ボールに長葱、生姜、熟成こうじパウダーをいれて③の油が200℃になったらジュワっとかける。 |
⑤ | ④の中に液体塩こうじと柚子果汁をいれ良く混ぜたらボールの下に氷を置いて冷ます。 |
⑥ | ⑤が冷めたらザルに切って余分な油を落としておく。 |
⑦ | クラゲを両方とも一口サイズにカットしてボールに入れたら⑤の葱醬を20gと柚子の皮を削ったものを入れてよく和える。 |
⑧ | クラゲ頭を取り出し熟成こうじパウダーを適量かける、それを柚子釜の中に入れ、上から残りのクラゲを入れ蓋をし、綺麗にしたらお皿に盛り完成。 |
塩こうじ豚スペアリブの唐辛子花椒(ホアジャオ)炒め
山椒の辛さ(麻:マー)と唐辛子の辛さ(辣:ラー)、麻辣(マーラー)に、塩こうじが加わり、三位一体に。「塩こうじが豚肉の脂を非常に軽やかに、まろやかにしながら、豚肉の個性を失わせず美味しくする。また熟成こうじパウダーは、山椒や唐辛子の辛さをマイルドに抑えながらも、味をふくよかにしてくれる」(川田シェフ)
◉使用商品:液体塩こうじ、熟成こうじパウダー、塩こうじ
① | スペアリブの赤身と脂のバランスを取り80gに整える。 |
② | 蒸し汁を合わせる。 |
③ | スペアリブを2分茹で、蒸し汁に1時間漬けて100℃で2時間蒸す。 |
④ | 炒め用の野菜を長さ4cmに切る。葉ニンニクは幅2mmの斜め切り、やっこ葱は太ければ縦半分に切る。 |
⑤ | 蒸し上がったスペアリブを常温で冷まし、粗熱がとれたら冷蔵庫で2時間ほど冷やし崩れないようにする。 |
⑥ | 唐辛子と花椒を合わせておく。 |
⑦ | 冷えたスペアリブに豚しゃぶ肉を隙間が開くように巻き、コーンスターチを全体にまぶす。 |
⑧ | 水で溶いたコーンスターチにスペアリブをくぐらせ、180℃の油で1分揚げる。 |
⑨ | 一度揚げたスペアリブを180℃で2分半揚げる。 |
⑩ | スペアリブを揚げている間に、油慣らしした鍋に老油、生姜、大蒜を入れ唐辛子・花椒を炒め、香りが出てきたら野菜を入れ炒め、クミン・塩を入れあおり、スペアリブを加え、酢を鍋肌に入れあおり、スペアリブを取り出し熟成こうじパウダーを振りかけ皿に盛る。 |
北寄貝の塩こうじ春雨蒸し
昆布じめで北寄貝を調理し、熟成こうじパウダーを振る。春雨は、液体塩こうじ、熟成こうじパウダー、細切りにした昆布じめの昆布で和える。これによって、昆布が北寄貝から吸った出汁を、さらに春雨に移している。北寄貝の下にはお米が敷かれており、北寄貝と春雨昆布の出汁が、お米にも浸透している。日本料理の鰹節と昆布のような相乗効果を表現。
◉使用商品:液体塩こうじ、熟成こうじパウダー
① | 北寄貝を開いて掃除し半分に切り1時間半昆布締めする。 |
② | 春雨の具を合わせておく。 |
③ | 昆布締めした北寄貝の表面に鹿子に切り込みを入れる、又昆布も細切りにしておく。 |
④ | ②の春雨の具に液体塩こうじを入れよく混ぜる。 |
⑤ | ④の春雨に北寄貝と細切り昆布をいれ、よく和えておく。 |
⑥ | セイロにオゴノリを敷き、その上に北寄貝の殻を乗せ、動かないようにセットする。 |
⑦ | ⑤の殻の上にご飯を置き、熟成こうじパウダーを1つまみかけ、その上に春雨と和えた北寄貝を乗せ身の内側にXO醬とバターを乗せ折りたたむ。その上に残った春雨と汁を乗せ、パクチーを散らす。 |
⑧ | セイロに蓋をして100℃の蒸し器で3分半蒸したら完成。 |
杏仁豆腐 〜塩こうじ2種類のソース〜
右側は、熟成こうじパウダーと砂糖、バター、牛乳を少し焼いてキャラメル仕立てにしたソースで、まろやかさと甘みを与える。左側は、熟成こうじパウダーと砂糖をしっかり焼き込んでカラメル仕立てにしたソースで、少しの苦みと、深み、コクを与える。まずは一口、そのままでいただく。その後、2種のソースを順番にかけていただく。広がる三重奏を楽しむ。
◉使用商品:熟成こうじパウダー
① | Aをボールに入れ蒸器で5分蒸す。 |
② | Bを鍋に入れ火にかける。 沸いてから20秒間ゴムベラで混ぜ火を止める。ダマができないように少しづつ合わせる。 |
③ | AをBに入れ混ぜ合わせる。 |
④ | 大きめのボールに常温に戻したクリームチーズを入れ、Cをホイッパーで混ぜながらダマができないように少しづつ合わせる。 |
⑤ | ④に③を混ぜ合わせ細かい漉し網で漉す。 |
⑥ | 45℃まで冷まし、型に45gづつ入れ冷蔵庫で3時間冷やし固める。 |
⑦ | プリンのようにひっくり返して皿に盛る。 |
① | 鍋に熟成こうじパウダーを入れ香りが出るまで煎る。 |
② | ①に上白糖を入れカラメル状になるまで火にかける。浄水を入れ混ぜる → 冷却。レンゲに盛る。 |
① | Aを鍋に入れ、香りが出るまで弱火で炒める。 |
② | 牛乳を少しづつ入れ混ぜ合わせる。固さを見ながら1分程炊く → 冷却。 |