- プレスリリース
- 2026.07.28
独自製法のコク味調味料「熟成こうじパウダー」の辛味増強・うま味持続成分を特定 ~お茶の水女子大学との共同研究成果が国際学術誌に掲載~
味噌・醸造製品メーカーのハナマルキ株式会社(本社:長野県伊那市、代表取締役社長:花岡周一郎、以下当社)は、お茶の水女子大学との共同研究において、当社独自の特許製法により生まれたコク味調味料「熟成こうじパウダー」に含まれる、料理の辛味を増強し、うま味の余韻(コク)を持続させる具体的な有効成分とその生成メカニズムを科学的に解明いたしました。そして、本研究の成果を取りまとめた論文が、2026年7月17日、査読付き国際学術誌である『Food Science and Technology Research』に掲載されましたのでお知らせいたします。

■研究の背景
2022年に業務用商品として発売開始した「熟成こうじパウダー」は、塩こうじの研究から当社独自の製法によって生まれたコク味調味料です。これまでの官能評価(人の感覚による評価)では、料理に加えるだけで「コク味」「辛味」「うま味」「冷涼感」を高める効果があることが確認されていましたが、その詳細な仕組みは未解明でした。
そこで当社は、複数の産官学連携による共同研究を推進し、2026年3月には「日本農芸化学会2026年度大会」にて、ヒトの口内の刺激センサー(味覚受容体など)への影響を含む包括的な分子メカニズムの解明を発表※いたしました。
今回、その一連の研究のなかから、お茶の水女子大学との共同研究において特定された、辛味増強・ うま味持続をもたらす具体的な有効成分(研究用コード:J300/J280)の同定および官能評価による効果検証に関する論文が国際学術誌に掲載されました。
※参考プレスリリース(2026年3月9日発表):
「熟成こうじパウダー」が口内の刺激センサーを活性化するメカニズムを解明
https://www.hanamaruki.co.jp/news/details/post-69.htm
■研究の内容と結果
今回の共同研究により、以下の3つの重要な知見が得られました。
1. 「熟成こうじパウダー」から2つの味覚増強物質(J300/J280)を特定
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた分析により、「熟成こうじパウダー」から、2つの特徴的なピークを検出しました。これらを単離し、質量分析(MS)や核磁気共鳴(NMR)などを用いて詳細に解析した結果、糖の熱分解(メイラード反応中間体)である「DDMP(2,3-ジヒドロ-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-(4H)-ピラン-4-オン、研究用コード:J300)」および「5-HMF(5-ヒドロキシメチルフルフラール、研究用コード:J280)」であることを同定しました。
2. 官能評価による味覚増強効果の実証
訓練されたパネルによる官能評価(triangle test/3点比較テスト)を実施し、同定した2物質の効果を検証しました。その結果、わさびペーストの懸濁液にDDMP(J300)を添加したところ、未添加のものと比較して有意に辛味(刺激)が増強されることが実証されました。また、コンソメスープに5-HMF(J280)を添加したところ、未添加のものに比べてうま味の余韻(コク)が有意に持続することが確認されました。なお、これらはJKPの添加量では無臭かつ無味であることを確認しております。
3. 独自の製法と味覚増強成分生成の関連を考察
こうじの製造過程において、麹菌(Aspergillus oryzae)の酵素の働きにより、米のデンプンやタンパク質が分解されてグルコース(ブドウ糖)やペプチド、アミノ酸が豊富に生成されます 。これらを含む素材に、当社の独自の製法を施すことでメイラード反応が進行し、味覚増強に寄与するDDMPや5-HMFへと効率的に変換され、「熟成こうじパウダー」が形作られるという独自の生成メカニズムを考察いたしました。
■ 今後の展望
本研究成果により、「熟成こうじパウダー」が持つ辛味増強効果およびうま味の余韻(コク)を持続させる効果の一端が、独自製法の製造プロセスによって生成されるメイラード反応中間体(DDMPおよび5-HMF)によるものであることが科学的に裏付けられました。これらは、単に風味を形成するだけでなく、他の食材の味わいを引き立てる「味覚増強物質」としての伝統的発酵食品の新たな機能性と可能性を示すものです。
この知見は、減塩・低脂肪メニューの満足度向上や、プラントベースフードにおける風味補完など、次世代の付加価値食品の開発に大きく貢献するものです。当社はこれからも、この産官学連携による知見をベースに、発酵の力を活かした新たな価値創造と、健康で豊かな食生活への貢献を目指し、さらなる研究開発に取り組んでまいります 。
■ 掲載論文の詳細

・雑誌名: 『Food Science and Technology Research』, 32 (4), 411-417, 2026
・論文タイトル: Identification of two major Maillard reaction intermediates, 2,3-dihydro-3,5-dihydroxy-6-methyl-(4H)-pyran-4-one and 5-hydroxymethylfurfural, as taste enhancers in heated shio-koji seasoning (加熱した塩こうじ調味料における味覚増強物質としての2つの主要なメイラード反応中間体、2,3-ジヒドロ-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-(4H)-ピラン-4-オンおよび5-ヒドロキシメチルフルフラールの同定)
・著者: Yuho TAKAHASHI, Nobuki SHIRAI, Eisaku YAMAMOTO, Kyoko NODA
・DOI: 10.3136/fstr.FSTR-D-26-00040
■ 「熟成こうじパウダー」について


当社が培ってきた麹(こうじ)の製造技術と、独自の製法を組み合わせることで開発された、新しいパウダー状の汎用発酵調味料です 。発酵の過程で生成されたアミノ酸や糖を、独自のプロセスによって味覚増強物質へと変化させており、食品の素材本来の味を損なわずに辛味を際立たせたり、うま味の余韻(コク)を持続させたりする革新的な効果を持っています
・商品名: 熟成こうじパウダー 12kg/1kg/50g
・原材料: こうじ発酵調味料(国内製造)(米こうじ、食塩)
・ブランドサイト: https://www.hanamaruki.co.jp/shiokoji-powder/

