みその歴史(鎌倉〜室町)

それまでのみそは食べ物にかけたり、つけたりするものでしたが、鎌倉時代に大きな変化が起きます。みそ汁の登場です。禅僧の影響ですり鉢が使用されるようになり、「粒みそ」をすりつぶした「すりみそ」がつくられました。すりみそは水に溶けやすく、みそ汁として利用されるようになったのです。鎌倉武士の食事の基本として、確立された「一汁一菜」が、現代まで受け継がれてきました。

吉田兼好の「徒然草」(1331年頃)の215段には、平宣時の昔語りとして、最明寺入道(鎌倉幕府五代執権・北条時頼)と台所の棚の皿にこびりついていた少しのみそを肴にして、二人で気持ちよく酒を酌み交わした逸話が書かれています。室町時代になると栽培の推奨に伴って大豆の生産量が増え、みその自家醸造が始まりました。また、今に伝わっているみそ料理のほとんどがこの時代につくられ始めています。みそ汁も庶民の間に浸透しました。

北条時頼(武者鑑 一名人相合 南伝二)

北条時頼
(武者鑑 一名人相合 南伝二)