- 2026.03.09
辛味・冷涼感をブーストする「新感覚調味料」!
「熟成こうじパウダー」がおいしさを引き立てるメカニズムを解明
味噌・醸造製品メーカーのハナマルキ株式会社(本社:長野県伊那市、代表取締役社長:花岡周一郎、以下当社)は、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下、農研機構)および国立大学法人お茶の水女子大学との共同研究により、独自の特許製法により塩こうじを加熱乾燥・粉末化したコク味調味料「熟成こうじパウダー」が「辛味の増強」や「コク味の付与」、「冷涼感の増強」といった調理効果を生む裏付けとなる分子メカニズムや有効成分を明らかにしました。
この研究成果は、2026年3月に開催される「日本農芸化学会 2026 年度大会」にて発表いたします。
■ 研究の背景:基本味以外の「おいしさ」を生み出すメカニズムの追求
2022年に業務用商品として発売開始した「熟成こうじパウダー(以下 JKP)」は、塩こうじの研究から当社独自の製法によって生まれた調味料です。これまでの官能評価(人の感覚による評価)では、料理に加えるだけで料理に「コク味」を与えたり「辛味」を際立たせたり、さらには「冷涼感」を増強する効果があることが確認されていました。これらのおいしさは、甘味や塩味といった「基本味」だけでは説明できない複雑な感覚です。そこで今回、外部研究機関との共同研究により、温度や化学刺激を感知するセンサーの役割を果たす「TRPチャネル」という感覚受容体、特に辛味に関わる「TRPV1」及び冷涼感に関わる「TRPM8」に着目し、3機関で連携してその影響を検証しました。
■ 研究の内容と結果:辛味受容体「TRPV1」及び冷涼感受容体「TRPM8」への影響を確認
研究では、辛味の受容体であるTRPV1及び冷涼感の受容体であるTRPM8を導入した培養細胞を用い、JKPに対する応答をカルシウムイメージング法で測定しました。
・辛味受容体と冷涼感受容体の反応をブースト
JKP単独ではTRPV1を活性化させませんが、唐辛子の辛味成分である「カプサイシン」と一緒に添加すると、カプサイシンに対するTRPV1の応答を増強させることが示されました。同じくJKP単独ではTRPM8を活性化させませんが、ミントの冷涼感成分である「メントール」と一緒に添加すると、メントールに対するTRPM8の応答を増強させることが示されました。
JKP自体は刺激を持ちませんが、共存する成分に合わせてその機能を発揮します。唐辛子の成分であるカプサイシンを含む料理では「TRPV1」を介して辛味を際立たせ、ミントの成分であるメントールを含む冷たい飲料や菓子では「TRPM8」を介して冷涼感やリフレッシュ感をブーストします。
・成分との関連性
JKPに含まれるメイラード反応物(加熱により生成される成分)が、この辛味や冷涼感の増強作用に関わっている可能性についても解析を進めています。
この結果は、JKPが辛味成分及び冷涼感成分そのものの働きをサポートすることで、食べた人が感じる刺激やおいしさをより鮮明にさせていることを示唆しています。
■ 今後の展望
今回の3機関による共同研究により、伝統的な発酵技術から生まれたJKPが、ヒトの感覚受容体に働きかけるユニークな特性を持つことが裏付けられました。
この知見は、スパイスや香料の使用量を抑えつつ満足感を高める食品開発や、これまでにない「コク」と「刺激」、「リフレッシュ感」のシーンに合わせたのシーンに合わせたメニュー提案など、食の付加価値向上に大きく貢献するものです。今後も産官学の連携を通じ、科学的エビデンスに基づいた新しい「おいしさ」の価値を提案してまいります。
【用語解説】
・TRPV1:TRPチャネル(感覚受容体)の一種で、主に熱刺激や唐辛子のカプサイシンなどに反応し、熱さや痛み(辛味)を伝える役割を担っています。
・TRPM8:TRPチャネルの一種で、主に冷刺激やミントのメントールなどに反応し、冷たさや清涼感(冷涼感)を伝える役割を担っています。
・メイラード反応物:食品の加熱工程などで、アミノ酸と糖が反応して生成される物質。香ばしさや風味の向上に寄与します。
■ 商品概要

・商品名:熟成こうじパウダー12kg/1kg/50g
・原材料:こうじ発酵調味料(国内製造)(米こうじ、食塩)・賞味期限:24ヶ月
・ブランドサイト:https://www.hanamaruki.co.jp/shiokoji-powder/
■ 学会での発表
学会名 : 日本農芸化学会2026年度大会(主催:公益社団法人日本農芸化学会)
日程 : 2026年3月10日(火)
演題 : 熟成こうじパウダーに対する温度感受性TRPチャネルの応答評価
会場 : 同志社大学 今出川キャンパス
